2014/07/03

W杯を見て冬季五輪を思い出した話

今回のW杯はリアルタイム視聴はほぼ諦めて、録画したものを後で見ている形が多くなっています。まあ途中旅行したのもありますが。

割と、というか究極にネタバレが平気なタイプなんですよ。しかも見ながら結果を忘れるもので、日本戦やスペイン戦を見ながら入らないシュートであることを知ってるのに、今度こそはいるんじゃないかと思えてしまったり(笑)。結果わかってるのに「うわー!」とか言ってしまう馬鹿者です。録画再生する度に歴史が変わったら大変だっていうのに……。

さてそんな中思い出したのは、冬季五輪のスピードスケート種目のことでした。
スピードスケートは体格が大きいことが圧倒的に有利である(リーチの長さもそうだし、氷を押す重量的な意味も含めて)ので、体格が立派な人が多いオランダというのは人種としてそもそも有利な状態にあるわけです。でも、体が大きいと小回りがきかないから、コーナリングでタイムロスしてしまう。

一方で体格に劣る日本や韓国の選手は、コーナリングの技術を高めてタイムロスを抑えていくことで、全体のタイムを縮めていく戦法を取っていました。そしてその技術を限界まで高めていた加藤選手と長島選手の活躍が期待されていたというわけです。

ところがソチ五輪、蓋を開けてみればオランダの圧勝。ありとあらゆるメダルをかっさらっていきました。要因は……オランダは有利な体格そのままに、コーナリングの技術まで会得したというのです。

「そりゃもうかなわないよなー、もう無理じゃん」と感じたのを覚えています。日本人の努力では到底届かないところにオランダは行ってしまったのだなあと。そして、なぜそのことに日本は事前に気づけなかったのだろうかとも思いました。

さてサッカーの話に戻ります。
私は単なる観戦バカで、自分自身のサッカー経験が深いわけではないので、サッカーの戦術や技術など事細かに理解して試合を見られているかというと、まあ怪しいもんだよなと自分でも思っています。ボールを持っていないあの動きに意味があったとか、あのボールタッチは信じられないとか、サッカーをやっていた人だからこそわかる目線は、私は持ちえません。
所詮素人。

そんな私ですら、今回の世界のサッカーの進化は強烈でした。
とにかく見ていて楽しい試合が多いこと。
そういうチーム同士があたった時の、コートがものすごく狭く感じられる体験。
特に決勝トーナメントに入ってからはもう、震えるとまで思いました。

1つのスタイル(日本の場合はパスサッカー)を真に極めれば個の力をカバーしうる状態になり、世界を取れると思っていたら、世界のサッカーは真にポリバレントな強い個の力を持つ選手達が複数の役割、複数のフォーメーション、複数のスタイルを状況に応じて使い分けながら、都度都度最良の戦術を選択しつつ戦う、次の次元へ踏み込んでいる姿を見せつけられた印象を持ちました。

3-4-3か4-4-2かどちらのフォーメーションが日本の選手層とスタイルに合っているのかという話ではなく、試合の中で状況を見ながら両方を使い分けられる選手が揃ったチームが世界レベルのサッカーだったんだ、という現実。日本はもちろん、アジア4チームとも1勝すら出来ないあの断層のようにも感じられる実力差。

うわー……と。
この差、埋まるのかなーって。
何年かかるんだろう。そして埋められたと思った頃にはまたきっと世界は次の次元へ進んでいるのでしょう。
クラクラしました。

そして前述のスピードスケート競技の現実を思い出したのでした。
ああ、あの時感じた絶望感に似ているなと。
世界との差をつきつけられた感じに。

その「なぜ世界との差に事前に気づけなかったのか(修正できるかどうかは別として)」という問題。
EUROに出てないのは大きいかもしれません。
チャンピオンズリーグに出るようなチームにいる選手がまだまだ少ないというのもあるかもしれません。
でもそしたらアメリカは?
運動神経の良い少年は、アメフト、バスケ、野球、アイスホッケーにまず取られていく中でそれでも決勝トーナメントに進出し続けているのはなぜ?

まあアメリカの強さについて考えていくと話が曲がるのでさておきますが、それにしても「気付くタイミングは合ったのではないか」と思うわけです。
コンフェデです。

コンフェデ、日本はわりとさくっと負けましたけど、でもあの時敗因を「世界との差が広がっているからだ」ではなく、「日本はまだチームやスタイルが完成していない発展途上だからだ、後2年掛けて高めていけば行けるはずだ」と分析してしまったように思います。

いや、わかったからといってあの時から初めて間に合うような強化が出来たか、と言われると正直疑問です。というか無理だったと思います。
でも、不要な……いや誤解の上に成り立っていた過剰なる期待が事前に膨らんでいきすぎた状況は、生まれなかったんじゃないかなーとも感じるのです。

そんなことを考えながら、今日もまたサッカーを見ようと思います。
チリ、ブラジルに勝って欲しかったな。
次にもうドイツ・フランスとか超もったいないな。
そして個人的にはドイツ・オランダの決勝を望んでいます。