ビジネスで誰かの紹介で初対面の人と会う時に「えっ?!女性だったんですか?」と言われることが少なくない。
正直な所毎回「一体全体あの人は、私のことをこの人にどのように説明したと言うんだ、全く……」とげんなりすることこの上ない。
「もっとごつい男性かと思っていました」とか言われた日には本当に何なんだろうと思う。
どうせ頭おかしいとか気が狂ってるとかキモいとかガサツとかまあ多少被害妄想入りつつもあるが「良からぬ悪い噂に違いない(まあ事実そんなに素晴らしい人物でもないからいいのだけれど)」と考えていた。
そんな中、ここ数年「もしや……」と気付き始め、最近段々と確信を得始めた現象がある。
相手が会ったことがない人の人物像を説明する場合、対象が女性だと大抵「外見の説明」から入るのだ。
可愛いとか、綺麗とか、普通とか、可愛くないとか、おばちゃんとか、ギャルとか、地味とかなんとかいいも悪いも含めて外見の雰囲気から入って、仕事ぶりや性格の話になり、センスとか趣味興味の話が加わる。
男性の場合は基本的には仕事ぶりや性格の話から始まり、センスとか趣味興味の話が加わり、よほど特徴的な場合は外見の話が加わるという感じだ。余程のイケメンの場合にイケメンが連呼されるとかそういう感じの。
そしてこれは話者が男性でも女性でも同じ傾向がある(少なくともここ数年の私の周りでは)。
つまり、外見の説明が入らない時点で「男性である」と判断される可能性が高いということで……要はおそらく、私は外見の説明がされていないことが多いのではないだろうか? ということを最近考え始めた。
これはまあ外見の説明をふっ飛ばしたいほど頭がおかしいことを力説したい人が多いのか、外見に語るべきポイントがないぐらいとらえどころがないか、ものすごく覚えにくい外見をしていて思い出そうとすると記憶がぼやけるとか、あるいは誰も私のことを女性だと思っていない、のどれかなのだが、ここを突き詰めると結構よからぬ扉を開きそうなのでやめておく。
それよりも「外見を語られがちでない」ことが真実であれば、期待したいことが私にはある。
変死した時のことだ。
何を突然というかも知れないが、どうせここまで読んだのだろうからついでだと思って聞いてほしい。
よく、女性が変死すると多くの場合「美人OL」とか「美人看護婦」とかなんかもうわけもなく「美人」の安売りが発生すること甚だしい。
正直な所「え?これ、美人……?」と感じてしまう人にも美人が付いていることが多いことこの上ない。
これが本当に私にとって恐怖なのだ。
私が変死したとして、ある日突然週刊誌やらネットニュースやらに「広告代理店勤務美人プランナーのバラバラ死体」とかもう、そんなタイトルがのることを考えるだけでおぞましい。そりゃ私はもう記事が出ている時点ではバラッバラの燃えカス(もしくは検視でさらにバラバラ)とかだろうからどうでもいいのだけれど、それでも
「プッ……美人だってよwwwwwwwww ねーわwwwwww」
「アレが美人になるとか、週刊誌も適当だなwwwwww」
とか、生存時の私を知る人達からこぞって失笑されていると考えるだけで、もう、嫌だそんなの、死んでも死にきれない!!!!!!!
ないないないない、絶対ない、本気で嫌。
これが嫌なために変死だけは避けたいと本気で思っているぐらいに嫌。
私にとっては切実である。
だが前半で語った通り、もし私が外見語る価値なし人間なのだとしたら……勝手に「美人」とかつけられてしまうおぞましい現象の確率がものすごく低いということではないか!
それは素晴らしい。
ほんとうに素晴らしい。
私の長年の悩みは解決される。
ということで最近は「あれっ女性だったんですね!?」と言われても、おおらかに受け止めるようにしている。
※おまけ
名前見ればわかるだろうという人もいらっしゃると思うが、漢字フルネームの印象が硬いらしく、字面だけ見て男性と判断されてしまうことが度々ある。小学校の頃から知らないうちに男の子の方に名前が混ざることは頻発していたし、極めつけに新卒入社時の登録書類も男だったこともあったし、まあ間違われやすいんだろうとは思う。あとは夏目漱石の小説の主人公の兄や、最近だとBL小説の主人公にも同じ名前がいるようなので、まあ男性の可能性もある名前ということなのだろう……