むかし、勤務先が田町にあって、自宅が三田にあった頃、三田通り沿いにある「夜咄」というお店でよく一人飯をしていた。まあいろいろと美味しい店だったが、特にざる豆腐が最高級に美味しくて、自分の中で生涯ベスト3に入る豆腐だった。
その当時も「あの豆腐が食べたい」と一人でふらっと行くレベルに本当に愛していた。しかしお店は潰れてしまって、今はもう食べられなくて……本当に悲しく思っている。
東京海洋大の学生をよくバイトに雇っていて、長期航海に行くたびにバイトが入れ替わり、戻ってくるたびにそのバイト君たちから体験談を聞くのも好きだった。
ロフトみたいな半二階の座敷があって、そこで少人数の宴会するのも好きだった。
あのお店の人、またどこかでお店開いたりしてないのかなあ……あの豆腐がもう一回食べたい。
あの頃は自分も若くて、オーナーやスタッフと個人的にも仲良くするとかそういうことをしなかったので、店の切れ目が縁の切れ目になってしまっていた。そうやって自分の目の前から消えた味がたくさんあって、時々思い出しては切なくなる。
あのパスタ麺、あの醤油、パーツパーツでひどく強烈に思い出される。
そしてこういうことは大抵、検索しても出てこない。
誰か、その後を知っていたらいいのに。
あー、あの豆腐、食べたいなあ………本当に食べたい(じたばた、ごろごろ